あるとこころに若き画家がいた。
ある禅寺から 部屋を囲むふすま中に紅梅を咲かせてほしいと依頼をうけた。
若き画家が制作していると おしゃべりな住職がやってきて 自分の日常の自慢話をはじめたそうだ。
下品な話だったので 「つまらない!」 と怒ったら 3日間出入りを禁止され、
支払い価格も日当に変った。
それでも画家は描き続けた。完成まで誰も見ない約束だった。
住職は部屋に咲く紅梅の花を楽しみにしていた。
画家は黙々と描いた。
「さぁ終了です。出来ました。」
そして、
部屋に入った住職は、「・・・・・」黙った。もう喋らなかった。
部屋の真ん中、梅の花々に囲まれた住職。
純白の梅だった。
金砂郷の龍神峡の橋を渡ったところの壁にも彼の描いた龍の絵がある。